角館總鎭守神明社

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敬神生活の綱領

 

 神々は、誠を持ち、信仰ある人々を必ずお守り下さり、祖先も見えざる力を添えて、お助け下さるものであって、これによって正しい人生を作り上げて行くことができる、との信仰に立ち、誠をささげ、正しい道を踏み行うことが、「まつり」です。
 古来、神は人の敬いによって威を増し、人は神の徳によって運を添う、と言われます。
 神社本庁(全国八万数千神社の包括団体)は、敬神尊皇の教学を興し、その実践綱領として「敬神生活の綱領」を掲げております。
 

     

敬神生活の綱領

神道は悠久の大道であつて、崇高なる精神を培ひ、太平を開くの基である。
神慮を畏み祖訓をつぎ、いよいよ道の精華を発揮し、人類の福祉を増進するは、使命を達成する所以である。
ここにこの綱領をかかげて向ふところを明らかにし、実践につとめて以て大道を宣揚することを期する。

 一、神の恵みと祖先の恩とに感謝し、明き清きまことを以て祭祀にいそしむこと

 一、世のため人のために奉仕し、神のみこともちとして世をつくり固め成すこと

 一、 大御心をいただきてむつび和らぎ、国の隆昌と世界の共存共栄とを祈ること

 

【三箇条の通訳】

一、神さまのいつくしみと祖先のご恩とをありがたく感謝して、明るいすがすがしいまごころで、お祭りにはげむこと。

一、社会のため人々のために奉仕をし、神さまの御心を承って、それを実現させるとの自覚を持って、世の中をより良くしていくこと。

一、天皇陛下が昔も今も、皆の平和を祈って居られるその御心をいただいて、むつまじく和やかに一つ心となって、わが国と世界中の繁栄をめざしていくこと。

 


【三箇条の主旨】

 第一条は、神道の根本的態度である神と祖先とに対する、報恩感謝の念を第一義としています。神は神社等にまつられている神々のことです。生命の大親神、万物育成の根源存在、「いのち」のはじめであり、私達を恵み助け導いて下さるご存在を神と申し上げます。私達は神々の恩恵のもとに生かされています。祖先は私達の先祖のことで、自分一人の祖先のみでなく、広く先人のことです。祖先は生命の中継者であり、生活と文化の恩人です。神と祖先の恩恵に感謝して、明るく清い「まこと」(真、実、誠、信)の心で、まごころを込めて、「祭祀」、祭りを勤めることが大切です。なお、祭りは神社の祭礼だけでなく、神棚や祖霊舎など家庭のまつりをも含めるべきでしょう。

 第二条は神道の社会的実践です。神の御心は大自然そのままに、人として最も正しい道を指し示しておられます。その御心を心として生きることが「神のみこともち」すなわち、神様の御心をいただき、その御心どおり実現させるべき私達の使命です。「世をつくりかためなす」(修理固成)とは、不完全な世の中を完全なものへと整えていくことであり、「奉仕」とは積極的に何事かをすること、実践することです。

 第三条は神道の究極的理想です。「大御心」とは天皇陛下の御心、「いただく」は尊びあがめ、賜ること。「むつび」(睦び)は親しみ仲良くすること、「和らぎ」は平穏、なごやかであること、「共存共栄」は共々に栄えていく、自分も他人も共に栄えることです。天皇の祈りと御心は国民ひいては世界の人々の理想の象徴であり、それは世界中の国々、人々が家族のように心を許し、尊びあい、助け合っていくことです。

 

【敬神生活の綱領について】

 神社本庁は昭和二十一年二月三日に、全国の神社の総意のもとにその事務機関として設立されましたが、神道教学方針をより具体的に、しかも神社界のみでなく、広く一般に至るまでの理解を及ぼすべく、綱領制定の研究がなされ、奇しくも同三十一年五月二十三日、本庁設立十周年の席上において、北白川総裁のお言葉を拝し、大会の名のもとに、前掲の綱領が宣言されました。

 この宣言はあくまでも綱領であって、必ずしも教義の謂いではありません。神社本庁の基本姿勢として、伝統的な神社信仰を鑑み、制定教義は立てるべきではなく、古来よりの信仰的要点を列記することによって指針を立てようとしたもので、その意味において綱領と名称するもので、また神道の信仰は日々の営みの中にあり、生活と遊離したところにあるのではないとする信仰観から、敬神生活という名称化がなされてくるものです。いわば生活実践の中の拠り所の確立を表明したものといえます。

 綱領が宣言されて以来、各種会合等において斉唱されるなど、神社関係者にとってその精神的指針となっています。神道の精神を最も適切に表明したのが本綱領といえます。

 神道について単に知識を深めるだけでは大道に近づいたとは言えません。生活の中で実践すること、その内に進む道があります。