熨斗袋(のしぶくろ)の使い方
神社で御祈祷をお受けになった際、御祈祷料をお納めになる時に使われるのが『熨斗袋(のしぶくろ)』です。熨斗袋とは、『熨斗(のし)』や『水引』がついた袋のことです。予め印刷された物も多くあります。
熨斗の起源は、「のしアワビ」を、贈り物として添えていたことから始まります。 元来、アワビを細く伸ばして干したもので、当時貴重な保存食であり、長寿をもたらす食べ物とされてきました。現在では簡略化され、アワビのかわりに黄色い紙が用いられるようになっています。現金を送る際の封筒にこの熨斗がつけられるようになりました。
神社でお祓いを受ける際には、この熨斗袋に一定の金額を包んでお納めします。表書きには『初穂料』や『玉串料』または『御祈祷料』などと書きます。水引の下に、御祈祷をお受けにな方(初宮・七五三ではお祝い児)の名前を書きます。
今ではお金を包むことが一般的になりましたが、昔は実りの秋には神さまに感謝の気持ちを込めて、その年の最初に実った稲穂を神さまにお供えしていました。稲穂(初穂)をご神前にお供えしたことにちなみ、神様にお供えする金銭のことを『初穂料』と表すようになりました。野菜や果物、魚などの初物も同じで、初穂という言葉はここから始まっています。
またご神前に拝礼する際に玉串(榊の小枝に紙垂を付けたもの)を奉ることから『玉串料』とも言われます。また、玉串料という表書きは、慰霊祭などの霊祭や弔事の際にも使用できます。
本来は、慶事、弔事とも表書きは毛筆が原則です。お祝い事には濃い黒を、葬式などの場合は薄墨で書きます。毛筆が苦手だという方も、万年筆やボールペンでは無作法とみなされてしまいます。最低でも黒のサインペンを使って下さい。
熨斗袋は神社以外でも、慶弔時に現金を送る際に利用されますが、祝儀・不祝儀などの種類があります。水引の色や結び方、熨斗の有無で用途が変わってきます。
※お見舞いの場合
お見舞いの場合でも祝儀袋を使います。ただし、熨斗はつけません。熨斗は長寿を祝うものですから、元々はつけるのが正しかったのですが、今では「病を『のばす』」という縁起の悪いものとして受け取られるようです。熨斗の付いてないご祝儀袋に、『お見舞い』『祈御全快』などと表書きをします。祝儀袋では抵抗があるようでしたら白い封筒などを用います。
水引の用い方(慶事)
一般的には、赤白祝儀袋や白い無地の封筒です。(左) 結びきり(あわび結び) 結婚祝・全快祝・お見舞いに用います。(二度とこういうことがないように) 但しお見舞いにはのしを付けません。 (中央) 蝶結び(花結び) 一般のお祝い事、地鎮祭、上棟祭などに用います。(再びこのような喜びがあるように) 東京付近以外では、一般のお祝いにも結びきりが用いられます。(右) |
■表書き
初穂料(はつほりょう)、あるいは玉串料(たまぐしりょう)、御祈祷料(ごきとうりょう)と書きます。
喜びを祝って、濃い色の墨で書きます。
その他
御礼、御食事料、お車代 などは一般に水引のない白無地を使います。
※ 白や黄白の水引に玉串料と印刷された物は弔事用ですのでご注意下さい。
■お札の入れ方
新札を用意し、封を開けたときに、人物の顔が表の上部にくるように祝儀袋に入れます。
■合わせ方
幸福を受け止めるように下側の折り返しを上に重ねます。 多当の場合、下側の折り返しを開き、上側の折り返しを挟むときちんと止められます。
袋の紙は祝い事が重なるようにという意味で2枚以上重ねたものを使います。
水引の用い方(弔事)
一般的に葬儀は黒白、双銀。年祭・霊祭は白、黄白、双銀の結びきり(あわび結び) を用います。(二度とこういうことがないように) その他 御礼、御食事料、お車代 などは一般に水引のない白無地を使います。 |
■表書き
葬儀は「玉串料・榊料」。お返しは、「偲草・志」など。
悲しみの涙で墨が薄れるとして、薄墨で書きます。
年祭・霊祭は「御霊前・玉串料」。お返しは「偲草・志」。
■お礼の入れ方
お札は新札を避け、封を開けたときに、人物の顔が裏向きで下部に来るように不祝儀袋に入れます。
■合わせ方
悲しみに頭を伏し、上側の折り返しを上に重ねます。 多当の場合、上側の折り返しを開き、下側の折り返しを挟むときちんと止められます。
袋の紙は不幸が重ならないようにと1枚だけのものを使います。