角館總鎭守神明社

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食前・食後感謝詞

 

 外国映画や外国TVドラマなどで、食事をする際に家族全員が神様に感謝のお祈りを捧げてから食事をするという光景が映し出されることがあります。
 この行為は何も諸外国に限った事ではなく、日本の神道に於いても、本来は食事の前にはまず神様に感謝のお祈りをし、食事の後にも同様に感謝のお祈りをします。
 神社神道ではどのようなお祈りをするのかというと、具体的には以下の通りです。

 

【食前感謝詞】 頂きますの意味のことば

 先ず、先導役が「静座、一拝一拍手」と言ってから、全員で一拝一拍手をします。
 次に、先導役がフシを付けて「たなつもの」と詠い、それを合図に全員で、「たなつもの 百(もも)の木草(きぐさ)も 天照(あまてら)す 日の大神の めぐみえてこそ」という和歌を詠います。
 詠い終わると全員が一斉に「頂きます」と言い、食事を頂きます。

《和歌の大意》
 五穀や全ての木草の育みは天照大御神の御加護のお蔭であるのですから、毎朝毎晩の食事のたびに、神の恵みを思い起こしましょう。
 (人間の力だけで食べ物ができるわけではありません。)

 

【食後感謝詞】 御馳走さまの意味のことば

 先ず、先導役が「端座、一拝一拍手」と言ってから、全員で一拝一拍手をします。
 次に、先導役がフシを付けて「朝よいに」と詠い、それを合図に全員で、「朝よひに 物くふごとに 豊受の 神のめぐみを 思へ世の人」という和歌を詠います。
 詠い終わると全員が一斉に「御馳走さまでした」と言い、この作法を終えてから席を立ち、食器を片付けます。

《和歌の大意》
 毎朝毎晩の食事のたびに、豊受大御神の恵みを思い起こしましょう。
 (人間の力だけで食べ物ができるわけではありません。)

 

 「たなつもの 百の木草も 天照す 日の大神の めぐみえてこそ」と「朝よひに 物くふごとに 豊受の 神のめぐみを 思へ世の人」というこの二首は、どちらも、短歌集『玉鉾百首』の中で本居宣長が詠んだ歌です。
 神社関係団体が主催する神職を対象とした各種研修会に於いて、食事を頂く際と頂いた際には、必ず全員がこの作法に従って和歌を唱和し、食前感謝と食後感謝のお祈りをしています。
 現代は年中野菜を作れる時代ではありますが、食べ物のことは、人間の力だけで全てがどうにかなるものではありません。この和歌を詠う詠わないということではなく、食への感謝、自然への感謝、という精神そのものを継承することが大切なのです。