角館總鎭守神明社

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忌中について

わかりやすい忌服


 古くから私たち日本人は、家族や親族に「弔事」が起きた場合、その心の痛みを拭い去り、不幸を乗越える節目として、ある一定の期間をもうけて喪に服し慎む慣習があります。これを「忌服」(きぶく)や「服忌」(ぶっき)と表現し、主に家庭や地域における神事やハレの行事への参加を控えてまいりました。この期間は地域によって多少違いがありますが、故人を偲ぶ大切な期間といえます。

  多くの方が「喪中」と「忌中」を同義語、または同じ用途で使われていますが本来は違う意味の言葉です。この「忌服」の期間に関しては奈良時代の「養老律令」、江戸時代の「服忌令」などに見られ、また現在の服忌期間の基になったものは明治7年太政官布告「服忌令」といわれていますが、現在では服忌に関する法律は存在せず、習慣・習俗として残っています。
 最近、「身内に不幸があったから一年間は神社にお参りしない」と仰る方がいます。詳しくお話を伺うと「亡くなった方は親戚の方」であるとか、「半年以上前に亡くなった」ということも多いのです。「○○してはいけない」、「一年間○○しない」そのような誤解を解いていきたいと思います。
 近親者の死を悼むのは、あくまで人それぞれの心の問題ですが、このページが現代社会にあって順調な社会生活を営むための 「心のけじめ」 として御参考になれば幸いです。清浄を尊び、穢れ(気枯れ)を忌む日本人の倫理観がここに見られます。

忌中と喪中について


【忌中

 我が国では古くより、死を畏れ、穢れ(気枯れ)として遠ざけてきました。「忌中」とは故人の死を悼み、故人の祀りに専念しながら自宅で謹慎する期間をいいます。
 戦前までは、江戸時代に定められた「服忌令」が公的な基準として用いられていました。この「服忌令」によると、最も期間が長いのが父母の場合で、「忌」が50日、それ以外の親族は、「親等」が離れるに従い期間が短縮されています。
 戦後、官公庁などでは職員の服務規程の中で、「忌引き」の期間が定められました。配偶者は10日間、父母は7日間とするのが一般的なようですが、基本的には各地域の慣例に従っているのが現状です。
 また「忌明け」とは忌みの期間を終えたことをいいます。「忌」の期間中は、神事や結婚式、式典などの公の場や行事への出席、また派手な行いを控えます。(祝い事やお宮参りなどの神事は忌明け後に延期します)
 「忌」の期間中は、神社への参拝を遠慮しますが、諸事情により、やむを得ない場合にはお祓いを受けてから参拝するのがよいでしょう。

 

【喪中】

 「喪中」とは、本来悲しみを表す喪服を着ている状態をいい、忌明けの後、故人への哀悼の気持ちを表す期間、また身を慎みながらも悲しみを乗越えて平常心に立ち返ろうとする期間のことをいいます。
 忌明け直後の派手な宴席は控えますが、生活は普段通りに行っても差し支えありません。 神事や正月行事、年賀状なども通常通り行い、故人を神さま・ご先祖さまとして敬いの気持ちを持ってお参りいたします。
 「喪」は抑々儒教から生じているもので、父母の死については最も長い13ヶ月間喪に服するということになっています。この13ヶ月の数え方ですが、昔は「0」という観念がないので、父母が亡くなった月が1ヶ月目となり、丸1ヶ月なくてもその月が終われば1ヶ月と数え、翌月は2ヶ月目になります。

 


(忌服期間の目安)



(忌中の場合の)お札・神棚・神事について


【お葬式を出された家(ご家族が亡くなられた場合)


神棚・お札

 忌中の間は神棚の正面に白紙を貼り、拝礼を控えます。忌明け後は白紙を外し、平常通り拝礼を行います。忌中期間に新年を迎えた場合は、忌明け後古いお札を納め新しいお札をおまつりします。


神事

 前年にご家族が亡くなられた場合でも、忌期間が過ぎていれば初詣・春祈祷などの神事は通常通り行います。(忌中にお正月を迎えた場合は、忌明け後、ご家族お揃いで神社にお参りしましょう)


【親戚にご不幸があった場合


神棚・お札

 別居している親族にご不幸があった場合、自分自身は「喪」に入りますが、家そのものは忌中にはなりません。神棚は家の祭祀ですから平常と同じく神棚・お札をおまつりします。 お正月のしめ飾り等も、ごく近親の方の場合を除いていつも通り行います。


神事

 (ご家族の場合)に準じて考えます。ただし、近親者(別居する親兄弟、子供、祖父母、孫)以外の場合は平常通り神事を行います。


忌明け清祓(お伊勢開き祭)


 身内のご不幸から50日を過ぎ、中断していた神棚のお祀りを再開するにあたって受けるお祓いです。 忌の期間は亡くなった方との続柄によって定められた期間があり異なりますが、一般的には、50日目で忌明けのお祓いを行います。その際に家内や身体を清祓いして平常の生活に戻ることができます。
 以後は、神社参拝も神棚拝礼も平常通り行いましょう。



まとめ

 

 身内にご不幸があるということは、誰しも悲しく辛く心が引き裂かれる思いをすることでしょう。この沈んだ気持ち、暗い気持ちで神様と接することは控えたほうがいい、私達のご先祖様はそうお考えになりました。この神様との関係を控える期間が「忌中」であり、過去も現在もおおよそ「50日」を最長と考えてきました。
 一方で、忌明けから少しづつ元の生活に戻るためや、元気を取り戻すための期間が「喪中」です。これは父母や夫の場合が最も期間が長く、約1年間かけて元通りの生活に戻します。戻すための期間ですので、忌明け後は控えていた神社への参拝を行ってよいわけです。